「無線機って携帯電話と何が違うの」と思っている方はいらっしゃいませんか。
確かに、両方とも「通信する」ために用いる機器ではありますが、実は携帯電話と無線機には、使用方法にも通話方式にも大きな違いがあります。
そのため、あまり無線機に馴染みがない人だと、使いはじめは使用方法に戸惑うことがあるかもしれません。
そこで今回は、無線機の基本的な使い方について解説します。
問題なく無線機を使いこなせるように、この記事で無線機の正しい知識と使い方を把握しておきましょう。
無線機の基礎知識について
まずは、無線機の基本的な知識について、「話す」「聞く」「チャンネルを合わせる」これら3つの観点から確認してみましょう。
1.「話す」
まず、無線機での会話は「一方通行」が原則であることを覚えておきましょう。
無線機は、携帯電話のように双方向での会話ができないため、交互に通信しなければいけません。
そのため、送信と受信を同時にできないことを頭に入れておきましょう。
また、自分が話をする時には、話が終わるまで「PTTボタン(プレスボタン)」を押し続けなければいけません。
PTTボタンを押していないと、無線機に向かって喋っていても、相手に自分の声は通じません。
そのため、会話が終わるまでは、ボタンから手を放さないように注意しましょう。
2.「聞く」
次に、無線機で話を「聞く」ことについてですが、無線機で相手の話を聞くときは、ただ無線機を持っているだけで問題ありません。
PTTボタンは、自分の声を「伝える」ために使うボタンなので、話を聞く際には何もしなくても大丈夫です。
3.「チャンネルを合わせる」
混信を避けるために、無線機は複数のチャンネルを使えるように設計されています。
そのため、特定の相手と通話するためには、使うチャンネルを合わせておくようにしましょう。
チャンネルを設定することは容易で、チャンネルボタンを操作するだけで設定できます。
使うチャンネルが決まっていないと、相手と会話できなくなってしまうため、無線機を使用する際には、あらかじめ使用する周波数を共有しておいてください。
無線機にはどんな種類がある?
一般的に利用されている無線機には、「特定小電力無線機」「簡易無線」「IP無線」の3種類があります。
ここでは、それぞれの特徴について詳しく見ていきましょう。
*特定小電力無線機
特定小電力無線機は、免許や登録がなくても、自由に利用できる手軽さが魅力の無線機です。
出力が弱いため通信可能距離は200mほどと、送受信のできる範囲はそれほど広くなく、また混信の可能性も高いです。
ただ、コストが安くレンタルも豊富なため、レジャーから簡単な業務に至るまで、さまざまなシーンでよく使われています。
*簡易無線
簡易無線には、「免許局」と「登録局」の2種類があり、「免許局」を利用するためには、無線免許を申請する必要があります。
通信範囲は1〜5km程度が平均で、遮蔽物のない開けた場所であれば、10km前後で通信が可能です。
また、「免許局」は無線機器の購入と同時に行う免許申請で利用でき、「登録局」については免許も不要で、登録申請だけで利用できるため、その手軽さも人気の理由になっています。
*IP無線
IP無線は、携帯電話のIPネットワークを利用して通信を行う無線機です。
そのため、携帯電話が利用できる環境であれば、IP無線も同じく利用できます。
また、通信範囲が広いだけでなく、通信モードも一斉・グループ・個別から選択できるため、使い勝手が良いことも魅力的な無線機です。
無線機の基本的な使い方
ここからは、無線機の基本的な使い方について解説していきます。
基本的には、次のような手順で無線機を稼動できます。
1.電源を入れる
2.チャンネルを合わせる
無線機で通話するためには、相手と同じチャンネルに合わせて、通話可能な状態にする必要があります。
そのため、無線機を使用する前に、相手とチャンネルの共有をしておきましょう。
3.通話する
先程もお伝えした通り、基本的に無線機では同時通信ができません。
そのため、会話をするためには、以下の動作を繰り返し行いましょう。
・(話したいとき)PTTボタンを押し、押したまま話す
・(話を聞くとき)PTTボタンを放し、相手の話を聞く
・(相手が話し終わったら)再びPTTボタンを押しながら返答する
この3つの動作を繰り返すことで、無線機を通して相手と会話ができます。
無線機の3つの通話方式について
無線機の通話方式には、次の3つの種類があります。
1.交互通信
交互通信とは、送信ボタンを押している間だけ、自分の声を相手に届けられる通話方式です。
ボタンを押し続けることで音声を届けられる仕組みは、「PTT(プッシュツートーク)」と呼ばれています。
PTTとは、ボタンを押している間だけ音声を届けられるようにすることで、送信と受信を切り替えて通信を行う仕組みです。
一般的な無線機ではPTTが採用されているため、基本的に無線機の手段は交互通信となっています。
2.グループ通信
グループ通信とは、同じチャンネルを利用している人に対して、複数人に向けて音声を届けられる通話方式です。
交互通信が2つの機種の間で会話する、1対1の通信を指すのに対し、グループ通信は、複数人に対して一斉に音声を共有できるのが特徴です。
そのため、チーム全体で情報を共有しなければいけない時に重宝されます。
3.同時通話
同時通話とは、送信と受信を異なる周波数で行う「クロスバンド方式」を用いている通話方式です。
送受信にそれぞれ異なる周波数を用いることで、送信と受信を同時に行えます。
そのため、交互通信やグループ通信のようにボタンを押す必要がなく、携帯電話と同じような感覚で会話できるのが特徴です。
ただし、こちらの通話方式が採用されている機種はあまりないので、一般的な無線機では、同時通話を行えない点に注意しましょう。
無線機トラブルの対処方法
ここからは、無線機の使用中にトラブルが発生してしまった場合の対処法についてお伝えします。
*電波が入らない
無線機に関するトラブルで最も多いものが「通話したいのに電波が入らなくて使えない」です。
無線機の電波が入らない原因としては、大きく分けて次の3つが挙げられます。
1.無線機の通信距離が遠い
2.環境による影響
3.無線機本体の電源が入っていない
相手との距離が通信可能範囲を超えていたり、周りに遮蔽物が多かったりすると、無線機の電波が入らなくなってしまいます。
そのため、こうした原因が考えられる場合には、一旦場所を移動してから、再度無線機を使用してみましょう。
*混信が起きる
混信とは、通話したい相手以外の人と、通信チャンネルが被ってしまうことです。
特に、特定小電力無線機と簡易無線はチャンネル数が少ないため、混信が起こりやすくなっています。
混信が発生すると、会話を他の人に傍受されたり、他の人の会話を邪魔してしまったりする可能性があります。
そのため、混信が起こってしまった場合には、まず使用しているチャンネルを変更しましょう。
お使いの機種によっては、秘話コードやユーザーコードを設定することでも、混信を防げる場合があるので試してみてください。
*アクセサリーの調子がおかしい
無線機に接続しているイヤホンやマイクなどのアクセサリーが問題になるトラブルもあります。
その場合には、アクセサリーの接続や設定を確認しましょう。
単にアクセサリーが外れかかっていたり、設定が間違っていたりする場合もあります。
そのため、まずは接続や設定を見直してみて、それでも改善しない場合には、アクセサリーの修理や買い替えを検討しましょう。
まとめ
今回は、無線機の基本的な使い方について解説しました。
無線機で特定の相手と会話するためには、お互いに使用するチャンネルを共有しておく必要があります。
使用するチャンネルがバラバラだと通信できなくなってしまうので、チャンネルの共有については、必ず忘れないようにしてください。
また、無線機の通話方式としては、「交互通信」「グループ通信」「同時通話」の3つがありますが、基本的には「交互通信」か「グループ通信」のどちらかが取られています。
そのため、一般的な無線機では、送信と受信を同時に行えないことを頭に入れておきましょう。