トランシーバーは、業務用連絡のみに使うものだと思っていませんか。
実は、パニックのおきやすい災害時にもとても便利な情報伝達機器として使えるのです。
そこで今回は、災害時におけるトランシーバーの利用方法とその時の注意点についてご紹介します。
そもそもトランシーバーとはどのような機器?
簡単にいうと、トランシーバーとはデータや信号の送受信を行う機器のことです。
本来、送信と受信を行う機器は別のものになりますが、トランシーバーはその両方の機能を併せ持っています。
基本的に受信モードの状態で使用し、話したいときだけ側面にあるボタンを押しながら話し、終わると同時にボタンを離して使います。
1.トランシーバーのメリットとデメリット
携帯電話は中継器を介して通信しますが、トランシーバーは送信機からの音声を受信側が直接的に受信できます。
そのため、中継器がない分携帯電話よりも素早く情報伝達でき、通信状況に左右され難いというメリットがあります。
山間部であっても、送信機と受信機の電波が届く範囲ならば通信できるのです。
一方で、デメリットも存在します。
トランシーバーが使用している周波数は400MHz帯で、障害物によるダメージが大きいことが特徴的です。
そのため、正しく音声が届かない可能性もあります。
2.トランシーバーの種類
トランシーバーは、使う距離や用途によって使い分ける必要があります。
指定小電力トランシーバー、シンプレックス無線機、IP無線機がよく使われるものです。
中でも、指定小電力トランシーバーは通信可能距離が他のものよりも短くなるものの、比較的安価で手にしやすい特徴があります。
反対に、IP無線機や衛星無線は長距離に特化しています。
トランシーバーは他の通信機器と何が違う?
*一人に伝えるか大勢に伝えるか
無線機は、一度操作し発話することで複数人に対して情報伝達でき、スピードは携帯電話よりも圧倒的に優れています。
携帯電話で100人に一度に情報伝達することはほぼ不可能ですが、無線機であればスムーズに伝えられます。
対して、文字情報や視覚的な内容を素早く伝えるには携帯電話が便利です。
*話す内容
スケジュールや打合せ、細かい内容を話す際には、携帯電話の方が優れています。
また、情報伝達というよりもコミュニケーションの一環としての利用には無線機は向いていません。
ですが、多数の人に素早く情報を共有したい場合には無線機が便利です。
*操作のしやすさ
無線機の操作といえば、発話の際にボタンを押すことくらいで、携帯電話よりは遥かに操作がシンプルです。
通話する際、携帯電話であれば電話帳から相手の名前を探し出し、通話画面から発信ボタンを押すといった手間がかかりますが、無線機にはその操作がありません。
*維持費
携帯電話は、月額の通話料金に加えて通信料金がかかりますが、無線機にかかる維持費は年間400円程度の電波料のみです。(2021年9月時点)
どちらもバッテリー交換をすることがありますが、かかる費用は数千円から一万五千円程度のため変わりません。
*通信エリア
通信エリアに関しては、それぞれに強みや弱みがあります。
携帯電話は、全国に基地局があるためどんなキャリアであっても全国ほぼ100%のエリアで通話が可能です。
しかし、山間部や特定の施設での通信圏外となり使いにくくなることもあります。
一方で、無線機は基地局ではなく本体同士で電波を送受信するため携帯電話が通信圏外になる場所でも利用することが可能です。
災害時にトランシーバーは活躍する?
もちろん、災害時にトランシーバーは大活躍します。
具体的にどのような点で活躍するのかというと、まさしく人から人への情報伝達です。
この場合の情報とは、細かい情報ではなく素早く簡潔に伝えられることが多いものです。
「5W1H」を、距離のある場所にいる人や大勢の人にスピーディーに伝えることが可能です。
もし、無線機がなく人の能力だけで行うとなると相当な労力が必要になってきます。
一分でも速い行動が求められる災害時に、情報伝達だけで労力を使うのは大変な負担になりますが、無線機を使うことで、簡単に行えるのです。
災害時に使えるトランシーバーにはどのようなものがある?
1.特定小電力無線機
これは、免許や資格が一切必要なく、気軽に使える点から飲食店で使われることが多くあります。
しかし、通信できる範囲が100から300mと短いため遠距離での情報伝達は不可能です。
そのため、災害時にスムーズな連絡を取り合うことには向いていません。
2.デジタル簡易無線機
この無線機は、特定小電力無線機と比較すると出力は強くなり、1kmから5km程度まで通信が可能です。
免許がなくても使用することは可能ですが、予め総務省に利用登録の申請を行う必要があります。
展示会やイベント会場などの小規模の場所での災害時は、デジタル簡易無線機を使うことで情報を共有できます。
3.業務用無線機
タクシーでたまに使用している場面を見たことはありませんか。
そのような無線機を業務利用専用のトランシーバーといいます。
通信距離が、10kmから20kmと広いため、免許の取得が必須です。
4.MCA無線機
無線機でたまにあるトラブル、「回線が混雑していて通信できない」といった問題を解決できます。
通信可能距離は30km以上で長時間の通話ができないという特徴から、簡潔に遠い人へも情報を伝えたい災害時にはピッタリです。
5.IP無線機
これは今まで紹介した無線機とは異なり、携帯電話の回線を利用して通信を行います。
そのため、月々の通信料金はかかるものの場所を選ばず様々な場所で通信できます。
また、音声をそのまま送るシステムではなくパケットデータに変換して送受信するため災害時も安心して利用できます。
当社では、お客様のお悩みを解決できるようなご提案をさせていただきます。
電子技術のプロフェッショナルがお客様をトータルサポートします。
トランシーバーを導入する際に気を付けるべきことはある?
無線機は、複数の人に瞬時に情報共有できるメリットがありますが使い方を間違えると上手く伝達できません。
*まず名前から伝える
無線機は、通話ボタンを押している間は発信者になり、ほかの無線機は聞く側になります。
同時に発話することは、一部の機械を除いて不可能なため、まず自分の名前を伝え、終話の際には「どうぞ」と付け加えましょう。
*チャンネルの確認
機種によっては、チャンネルの変更をしなければほかの通信と混ざってしまうトラブルが発生します。
事前にチャンネルを確認してから使用することで、混信を防げます。
万が一、混信してしまった場合にはチャンネルを変更してみましょう。
*誰が誰に伝えるかを明確に
手軽に情報を共有できる無線機は、咄嗟に要件から話してしまいがちです。
しかし、誰が話しているのかはまず初めに伝えないと分かりません。
自分は誰で、誰に向けて伝えたいのかをはっきりしてから話始めることが大切です。
まとめ
今回は、災害時におけるトランシーバーの利用方法とその時の注意点についてご紹介しました。
携帯電話は、多機能で持ち運びやすい利点があるのに対してトランシーバーは、簡単な操作で通信状況に関係なく大勢の人に一度に連絡できます。
パニックが起きやすい災害時には、ボタン一つで様々な指示を出せるトランシーバーが大活躍するのです。
当社では、無線機を含む様々な電子機器を取り扱っております。
無線機の購入をご検討中の方は、ぜひ当社までお問い合わせください。